いつからか、月会費のお支払いに新札を用意してきてくださるお客さまが増えはじめ、その心がとても嬉しかったので、私もおつり用の千円札、五千円札には新札を用意するようになりました。
月初めは、月会費をお預かりするので、受付業務が少々忙しくなります。
チケットにお名前を記入したり、領収証をお渡しすることも含まれるので、会員様が増えてからは、銀行やクレジットカードからの自動引き落としにさせてもらおうかとも、何度も悩みました。
当然手間は省けるし、間違いもなくなるし、正直言えばリピート率も上がります。大手のジムさんなどは「幽霊会員」といって、お金だけ引き落とされて通っていない客から得られる売り上げは馬鹿にできないほど大事だという話も聞きます。
自動引き落としには心が揺れ動くメリットがたくさんですが、それでも現金で手渡しでいただくお金には、お金を頂く以上の意味が私にはあります。
わざわざ新札を用意してきてくれるお客さまもいれば、封筒にお金を入れてきてくださるお客さまもいます。
そしてどなたも「よろしくお願いします。」と一言添えてお渡ししてくださいます。
「ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。」
お金のやり取りをする時にこの会話を交わすシチュエーションは、当たり前のようだけど、考えてみればそうそうありません。
現金決済を続けたい理由は、このためだけですが、私にはとても大事なやり取りです。
大学卒業後、不動産会社に勤めて間もない頃、初めて借主と契約・決済を交わす直前に上司に言われた言葉が残っています。
「6万円の安いアパートを探しに来た人も、契約の時は40万円近く支払うんだ。40万円の買い物をしにきている人だと思って接客をしたか、振り返りながらお金を数えなさい。」
不動産屋さんも、今は銀行振り込みが当たり前なのかな...いい時に仕事ができてよかったと思っています。
電子マネー化がどんどん進んでいるけれど、やっぱり現金はなくなってほしくないな。