ある日のリカバリークラスにて。
いつものようにテニスボールを使いながら、筋肉をほぐしたり、ツボに刺激を与えたりする中で、面白い発見がありました。
胃経の「足三里」または「上巨虚」にテニスボールを当てて圧を加えた後、アグニスタンバーサナ(薪のポーズ)に入りました。
この順番でやった理由にはなんの根拠もなく、正直に言えばクラス中の思いつきでした。
この時、私もレクチャーを兼ね皆さんと同じようにボールを当てた後、前屈をしてみたのですが「あれ、なんだかやり易いなぁ。」と思い、お客様を見渡してみました。
すると、普段この姿勢が苦手だという何名かのお客様が、なぜかすんなりと膝を落とし、気持ちよさそうに前屈をしているのです。上の脚の膝が高く上がってしまい股関節から前屈をするどころか、まともに座ることすら難しかったはずですが...
クラス後、お客様がお帰りになる前に、お一人ずつ伺ってみました。
「アグニスタンバーサナ、やり易くなかったですか?」と。
すると皆さん口を揃えて「やり易くて、びっくりした!」とおっしゃられました。
なぜだろう...。
足三里と上巨虚。筋肉でいえば、前脛骨筋にボールは当たります。
またアグニスタンバーサナは、大臀筋や中臀筋のストレッチ効果がありますが、この二つの筋肉とそれに関連する腸脛靭帯に硬さがあると、うまくポーズが組めません。
何が関係しているのか...?
骨模型を眺めてみたとき「もしかして...!」と、私の中で一つの仮説が浮かび上がり、急いで部屋に戻り解剖学の本を開きました。
仮説はドンピシャリ。前脛骨筋と腸脛靭帯が連結を起こしていました。アナトミートレインです。
あくまで私の仮説であり、臨床現場で得られたエクスペリエンス。
一方、エビデンスは何?と尋ねられれば「解剖学の参考書を開いたら、二つが繋がっていた。」くらいにしか答えられません。実際、まったく変化が現れなかったという方もいらっしゃいます。
ただ今のところ、30名ほどのお客様に被験者になっていただいて、そのうち26名は、見た目にも明らかな「変化あり。」と実感してくださっているので、経験値としての説得力はまずまずではないでしょうか。
こういった発見がまだまだあるのかと思うと(しかもクラス中に)、人間の身体への興味はますます深まっていきます。
解剖学をベースにしたヨガは、やっぱり面白いです!
- Noriko -