私はヨガインストラクターになる前に、着付師という仕事と、和装専門のヘアメイクの仕事をしばらくの間しておりました。
そのメイクの仕事を始めて間もなく、右肘の外側に嫌な痛みを抱えるようになりました。人様にメイクを施すのにも、片方の眉を描くだけで痛くて痛くて、仕事に行くたび泣きそうでした。時間に追われる婚礼美容には支障をきたすほどで、結局整形外科に行くことに。
そこで医者にいわれたのが「テニス肘だね」。正式には上腕骨外側上顆炎と呼ばれるものでした。
テニスしたことないんですけど〜。当時はそう思いました。
「テニス肘」なんていう名前が付いてしまっているため、「テニスをしている人だけがなる怪我」と勘違いをしている人ものすごく多いのではないでしょうか。
また「肘」という部位名がついているので、「肘を使いすぎている人だけがなる怪我」と思っている人も多いはずですが、どちらも間違いです。
テニスのバックハンドでこの怪我をする方が多いため「テニス肘」という名前がついたそうですが、その原因は手関節の伸展時の大きな負荷や、伸展筋の慢性疲労によるもの。
その結果、筋肉の起始部である上腕骨外側上顆に炎症が起きるのが症状です。
私の場合、お客様にメイクを施す時の多くが手の甲を腕に近づける伸展位の動作となり、疲労がたまりました。
メイクの仕事を辞めた今ではどうでしょう。
ノートパソコンのトラックパッドで操作をする時に同じ痛みが走ります。まったく同じ動作です。マウスを使えない時はあまり長く操作できません。
ただマウスを使ったとしても、手を乗せた状態は、手関節の伸展位。ややぶ厚めのキーボードを使う場合も実は同じです。
つまりオフィスで働く人もなりうる可能性があります。
「テニス肘」は料理が好きな人、主婦ですらなることは驚くことでもなんでもありません。
ではヨガでは「テニス肘」にはならないんでしょうか?
実際にヨガのアーサナには手首の伸展位のものが多くあります。
注意深い指導者であれば、怪我を防ぐために「第一関節でマットを握るように」と、手関節の屈曲の意識を持つことを伝え、必ず目で確かめに歩き回るということをするでしょうが...考えてみてください。
テニスをされる方はグリップをしっかり握り締めているわけです。私もメイクブラシを握っていました。包丁を持つ時も柄の部分をしっかり握っています。
それでも「テニス肘」になるわけです。
アームバランス系のポーズは体重が手首に乗るわけですから、屈曲意識では不十分でしょう。ヨガをされるのであれば、その他の日常動作以上に、「テニス肘」について真剣に考えなければいけません。
さてどんな人でもなりうる「テニス肘」。手首の伸筋群のなかでも特になりやすい上位3つの筋肉、どれだかわかりますか?
当時私は医師に、「この程度ならマッサージをするといい」と言われましたが、いったいどれをマッサージすれば良いのでしょうか?
その時は「この辺」程度にしか教えてもらえませんでした。
もしも「この3つですよ!」とピンポイントで教えてくれるヨガ指導者に出会えたら、みなさんのヨガも、お仕事も、主婦業も、もっと快適なものになるかもしれませんね!
ヨガ指導者のみなさま。ワンランク上の上級指導者とお客様に認めていただくためのワークショップに関心がございましたら、来月ぜひご参加くださいませ。
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12月21日(土)ヨガ解剖学データベース40
*ちなみに「テニス肘」といってきましたが、細かく定義すると「バックハンドテニス肘」が上腕骨外側上顆炎。フォアハンドでなるものは上腕骨内側上顆炎です。